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小泉重田小児科トップ小児科・アレルギー科インンフルンザの治療薬(2022-2023)


1)子どものインフルエンザ治療薬 (2023.8.28更新)

2023−2024シーズン 小泉重田小児科の治療方針:

インフルエンザ薬は患者さまに希望薬を選択してして戴いております。

小児のお薬選びのポイントは「しっかり服用できること」でしょう。
せっかく薬が手に入っても、「飲めなかった」「飲めたが吐いてしまった」「吸入できなかった」・・など、お困りの方もおられます。服用しやすい製剤を選ぶことが大切です。

内服薬はタミフルゾフルーザ錠、吸入薬はリレンザまたはイナビルの中から選択できます。ラピアクタ点滴薬は入院を要する患者さんや発達障害などがあり普段から服薬ができないお子さん向けと考えています。ゾフルーザ錠は錠剤が服用できる方が対象になります。

年齢による抗インフルエンザ薬選択の目安(当院の方針)  
タミフル リレンザ イナビル ラピアクタゾフルーザ
内服薬 吸入薬 吸入薬 点滴薬 内服薬
0〜生後2週 × × × × ×
生後2週〜5歳未満 ×
5〜15歳未満 ○〜◎ ○〜◎
15歳以上
予防投与 ×
◎推奨 ○使用可 △あまり勧めない(吸入や服用の問題) ×使用不可 ●考慮
  • 0歳〜生後2週未満
  • 抗インフルエンザ薬は使用しません。
  • 生後2週目〜5歳未満
  • タミフルを第一選択と考えます。
     
    体格は良くても5歳未満のお子さんは、吸入薬のリレンザとイナビルは上手に吸入できないため使用しにくいです。
    ゾフルーザも錠剤のため5歳未満のお子さんでは誤嚥のリスクがあるため、お勧めしておりません。
  • 5歳〜15歳未満
  • 様々な剤形が使える年齢ですが、「服薬できなかった」という相談もよく寄せられる年齢です。そこで、確実に服薬できる剤形の使用を考慮します。
    • ドライシロップ
    • 吸入剤が吸えない人や錠剤の服用歴がない方は第一選択になります。タミフルドライシロップはクラリスのような特有の苦みがあります。
    • 吸入剤
    • リレンザ、イナビル
    • カプセル
    • タミフルカプセル(体重37.5Kg以上の人)
    • 錠剤
    • ゾフルーザ錠(確実に錠剤を服用できる方)
    • (顆粒:未発売)
    • ゾフルーザ顆粒:未発売
  • 15歳以上
  • タミフルカプセル、リレンザ吸入薬、イナビル吸入薬、ゾフルーザ錠の使用を考慮します。
    高崎市では高校卒業後は医療費がかかります。ジェネリック医薬品をご希望の方はタミフルカプセルのジェネリックを選べます

5歳〜15歳未満で、リレンザとイナビルの選択、当院の考え方:

  • リレンザは年齢を問わず吸入する薬の量が同一です(年齢が9歳未満で体重が大きいお子さんも、成人量を吸入できます)
  • イナビルは9歳11か月のお子さんは20rを吸入し、誕生日を迎えて10歳になると倍量の40r(成人量と同じ)を吸入します。
  • そこで、10歳未満で、体格がよく、ご自宅でもしっかりと吸入が継続できそうなお子さんには、リレンザをお勧めしています。
    一方で、薬が苦手で吸入するだけでも吐いてしまうお子さんや、家庭のご事情で吸入時に保護者が付き添えない方などは、一度の吸入で治療が完結するイナビルをお勧めしています。

// インフルエンザに罹った全ての患者さんに投与する薬ではありません

 タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ点滴薬、ゾフルーザ錠などの抗インフルエンザ薬は、患者さんの年齢や状態を見極めて使用することになっています。抗インフルエンザ薬の効能書きにも「抗ウイルス薬の投与がインフルエンザ感染症の全ての患者に対して必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、使用の必要性を慎重に検討すること。」と明記されています。

 また、ゾフルーザ錠はまだ臨床データが乏しく、低感受性株(耐性菌)の出現頻度が高いことを考慮して、慎重に処方することにしております。


// タミフル(内服薬)

世界初の抗インフルエンザ薬です。
A型インフルエンザおよびB型インフルエンザに有効。
粉薬とカプセルがあり、生後2週目のお子さんから使用できます。
平成28年12月16日から、1歳未満の赤ちゃんにも健康保険でタミフルを処方できるようになりました。
・処方量(薬の量)が赤ちゃんは多めです。
生後2週目〜1歳未満の赤ちゃんには、1歳以上のお子さんの1.5倍量を投与することになっています。

平成30年8月21日から、どの年齢でもタミフルを使用できるようになりました。以前は10歳台の方には原則として処方しないことになっていました。

タミフルの歴史:
発売当初は製薬会社でも在庫切れになるくらい需要がありました。ところが、2006/2007シーズンに見られた異常行動の報道や、厚生労働省の緊急安全情報発出などにより、使用上の注意が厳しくなり、発売の翌年は患者さんからも敬遠されるきらいがありました。2009/2010シーズンは、新型インフルエンザを中心に、多くの方がインフルエンザに罹りタミフルの流通が悪化しました。特に小児用のドライシロップの国内在庫が逼迫したため、タミフルカプセルの中身をばらして小児に投与することが厚生労働省から認められました。そして、2018年8月、発売から10余年が経過し「タミフルと異常行動に因果関係があるとは言えない」判断され、全年齢で使用できるようになりました。また、2018年9月にジェネリック医薬品が発売されることになりました。

・タミフル服用中の方への注意事項はこちら
・厚生労働省緊急安全情報発出:タミフル服用後の異常行動について
・中外製薬の緊急安全性情報
・厚生労働省報道資料:10歳代のタミフル服用後の転落・飛び降り事例に関する副作用報告について


// リレンザ(吸入薬)



5歳以上のお子さんに処方致します。
リレンザは吸入する抗インフルエンザ薬です。この薬はご自宅でパウダー状の薬を自分で口から吸入する薬です。5歳以上のお子さんで、上手に吸入できる方に使用します。
A型インフルエンザ、B型インフルエンザ両方に効果があります。


// イナビル(吸入薬) 平成22年10月19日発売



1回の吸入で治療が終了します。
イナビルはリレンザと同様、吸入する抗インフルエンザ薬です。
A型インフルエンザ、B型インフルエンザ両方に効果があります。

10歳未満のお子さんは1容器20mg(2吸入で治療終了)
10歳以上のお子さんは2容器40mg(4吸入で治療終了)

参考:
本物は見た目よりずっと小さい容器です。
吸入後に少し苦みを感じます。
苦みのため吸入後に嘔吐する方がまれにあります。


// ラピアクタ点滴薬 平成22年10月27日小児適応追加

静脈から全身に投与する抗インフルエンザ薬です。
点滴が必要です。小児科領域では急速に進行する重症肺炎やインフルエンザ脳症が疑われなどの入院加療が必要なお子さんに対して慎重に使用されるています。
当院で使用する場合は限定的で、重い基礎疾患を持つお子さんや、重症化しやすい重症心身障害のお子さん、発達障害等で普段から服薬・吸入が極めて困難なお子さん、に使用しています。
A型インフルエンザ、B型インフルエンザ両方に効果があります。


// ゾフルーザ錠  平成30年3月14日発売

ゾフルーザ錠は日本で開発され、世界に先駆けて平成30年3月に発売された、日本発の抗インフルエンザ薬です。
ウイルスに対する作用が今までの薬剤と異なる、新世代の抗インフルエンザ薬です。
特に、ウイルス排出停止までの時間が短い(人に移す期間が短い)傾向があります。
A型インフルエンザ、B型インフルエンザ両方に効果があります。
令和2年11月27日から予防投与(自費)ができるようになりました。

一回の服薬でインフルエンザ治療が完結します。
錠剤なので、当院では5歳以上のお子さんで、確実に錠剤を服用できる方に処方しております。(一般に、幼児が錠剤を服用した場合は、誤嚥や吐き出し、口腔内残薬に注意が必要です)

ゾフルーザ錠はまだ臨床データが乏しく、低感受性株(耐性ウイルス)の出現頻度が高いことを考慮し、慎重に処方することにしております。
6歳未満児などの、インフルエンザ抗体価の値が少ない人に耐性ウイルスが出やすいという研究があります。

ゾフルーザは年齢と体重により投与量が決められています
年齢体重10mg錠20mg錠顆粒10mg分包
〜12歳未満10kg以上〜20kg未満1錠×1包(注1)
20kg以上〜40kg未満×1錠2包
40kg以上〜×2錠4包
12歳以上〜〜80kg未満
80kg以上〜×4錠8包


// シンメトレル 当院では現在処方しておりません

シンメトレルはタミフル発売前に比較的短期間使用された、A型インフルエンザにのみ有効な抗ウイルス薬です。
メリット(利点)は、薬の量が少なく内服しやすい事と、平成16年当時のタミフルにような新薬ではなく、インフルエンザの治療以外に長期間使用されている実績があった事です。
デメリット(欠点)は、B型インフルエンザには無効であること、長期投与により薬剤耐性インフルエンザウイルスの発現が懸念されていることです。
シンメトレルはインフルエンザの治療以外には、パーキンソン病の治療や、脳梗塞の後遺症を改善する効果を期待して使用されています。
タミフルが安定供給されるようになってから、シンメトレルは抗インフルエンザ薬としては殆ど使用されていないものと思われます。


2)抗インフルエンザ薬ではインフルエンザ脳症は予防できません

インフルエンザ脳症はインフルエンザの合併症の中で最も危険な病態です。残念ながら、抗インフルエンザ薬を発症早期に服用しても脳症の発症を抑えることはできません。更に、厚生労働省の研究班がインフルエンザ脳症について専門的に研究していますが、今のところ脳症を早期に診断する決定的な検査は開発されていません。


3)解熱剤(げねつざい)を使ってはいけないのですか?

 いいえ。但し、インフルエンザの時に使わない解熱剤があります。
ボルタレンやポンタールなど、ある種の解熱鎮痛剤はインフルエンザには使用しないで下さい。特に、インフルエンザ脳症に罹ったお子さんに、ボルタレンを使用すると死亡率が高くなるとされています。
一方、解熱剤を使わなければインフルエンザ脳症に罹らないという事ではありません。
通常、小児科では「アセトアミノフェン」という解熱鎮痛剤が用いられます。アセトアミノフェンは坐薬・シロップ・細粒・錠剤と剤型が幅広いので、赤ちゃんから大人まで使いやすく、現在までの報告ではインフルエンザ脳症に罹ったお子さんが使用しても死亡率が高くなる事はありませんでした。
更に大切なことは、どのような解熱剤でも安易に使用することは好ましくありません。赤ちゃんがお熱があると「何とかして楽にしてあげたい」という気持ちは察するに余りあります。そんな時、すぐに「解熱剤を!」と考えずに、まず、体温調節(室内の気温と着衣の適切化)を行い、水分摂取を促しましょう。普段から「かかりつけ医」に”解熱剤の使い方”を相談しておくと良いと思います
インフルエンザは希に「インフルエンザ脳症」という、極めて重い合併症を発症することがあります。ところが、インフルエンザ脳症の発症初期は診断が難しいのが現状です。ご心配の場合は速やかに医師の診察を受けて下さい。

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