子宮頸がんはワクチンでけでは100%の予防効果がありません。ワクチンを適切な時期に接種し、成人に達したら「子宮頸がん検診を毎年必ず受ける」という気持ちを育むことも大切です。
平成25年6月14日、厚生労働省は子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を
「積極的に接種を勧奨することを、一時的に差し控える」よう、自治体に勧告しました。高崎市からも対象者への予診票送付が行われていませんでした。
その結果、国による調査で、「HPVワクチン」が定期接種であることを知らなかったり、さらにはワクチンの存在そのものを知らない方が増えてきたことを受けて、令和2年7月から上記のようなリーフレットが作成されてきました。
子宮頸がんワクチンは継続して定期接種のままですから、接種希望者は今まで通り無料で接種できます。
医療機関は、接種希望者に対して(1)「厚生労働省は、子宮頸がん予防ワクチンの接種を、積極的にはお勧めしていません」という説明と、(どのワクチンでも同様ですが)(2)「接種に当たっては有効性とリスクを理解した上で受けて下さい」という説明をすることになっていました。
副反応かどうかわかりにくい症状が出た場合には、接種した医師がご相談に応じます。更に、全国に設置された「HPVワクチン接種後に生じた症状の診療に関する協力医療機関」をご紹介もできるようになっています。このように安心して接種できる環境も整備されています。
令和3年11月26日、さきの「積極的に接種を勧奨することを、一時的に差し控える」指示が廃止されました。令和4年4月から接種対象の方に予診票が郵送されます(高崎市では中学1年生の女子)。つまり、日本脳炎や二種混合ワクチンのように、通常の定期接種ワクチンに戻った感覚です。また「積極的勧奨の差し控え」の時期に接種機会を逃したかたが、無料で接種が受けられる救済措置「キャッチアップ接種」も3年間の予定で始まりました。令和5年4月から9価ワクチンの「シルガード9」が定期接種化されるました。
「サーバリックス」、「ガーダシル」、「シルガード9」の相違
このページはワクチンの違い(相違)を比較することで、
ワクチンを選ぶ際の参考情報を提供することを目的としています。
- 子宮頸がんワクチン
- 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症します。そこで、がん予防のためにHPV感染を防ぐワクチンが開発されました。
- 定期予防接種では3種類のワクチンから自由に選択できます
- 定期予防接種の子宮頸がんワクチンは、「サーバリックス」、「ガーダシル」。「シルガード9」の3種類から、ご希望のワクチンを選択できます。
どちらのワクチンも公費で接種できます。
- 3種類目のワクチンが、日本でも使用できるようになりました
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3種類目のワクチンである、9価ワクチン「シルガード9」(海外での商品名:ガーダシル9)が日本でも2020年7月21日に製造販売が承認され、2021年2月24日に発売されました。
・2023年4月から9価ワクチンが定期接種に使用できるようなりました。(2022.11.11追記)
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サーバリックス |
ガーダシル |
シルガード9 |
薬品名 |
組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン
(イラクサギンウワバ由来) |
組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン
(酵母由来) |
組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来) |
国際誕生 |
2009年10月 |
2006年6月 |
2014年12月 |
国内発売 |
2009年12月 |
2011年8月 |
2021年2月 |
定期接種 |
○
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○
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○ |
予防する HPVの数 |
2種類
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4種類
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9種類 |
予防する HPVの型 |
16・18
高リスク型 がん関連
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16・18
高リスク型 がん関連
6・11
低リスク型 |
16・18・31・33・45・52・58
高リスク型 がん関連
6・11
低リスク型 |
関連HP |
子宮頸がん予防情報サイト 「Allwomen.jp」 |
子宮頸がん予防情報サイト 「もっと守ろう.jp」 |
HPVワクチンの副反応
比較的軽度の副反応は、一定の頻度で起こることが知られています
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サーバリックス |
ガーダシル |
シルガード9 |
10%以上 |
掻痒・疼痛・発赤・腫脹・胃腸症状(悪心・嘔吐・下痢・腹痛等)・頭痛・疲労 |
注射部位疼痛・注射部位紅斑・注射部位腫脹 |
疼痛・腫脹・紅斑 |
1〜10%未満 |
発疹・蕁麻疹・硬結・めまい・発熱(38℃以上を含む)・上気道感染 |
発熱・注射部位掻痒感・頭痛 |
発熱・掻痒症・出血・熱感・腫瘤・知覚消失・頭痛・感覚鈍麻・悪心 |
1%未満 |
知覚異常・感覚鈍麻(しびれ感)・全身脱力 |
注射部位硬結・注射部位出血・注射部位不快感・注射部位内出血・注射部位変色・注射部位知覚低下・注射部位熱感・倦怠感・浮動性めまい・感覚鈍麻・傾眠・回転性めまい・下痢・腹痛・悪心・四肢痛・筋骨格硬直・四肢不快感・白血球数増加 |
四肢痛・腹痛・下痢 |
頻度不明 |
四肢痛・失神迷走神経反応・AST(GOT)/ALT(GPT)の上昇等・ぶどう膜炎・角膜炎・リンパ節症 |
無力症・悪寒・疲労・注射部位血腫・失神(強直間代運動を伴うことがある)・関節痛・筋肉痛・嘔吐・リンパ節症・蜂巣炎 |
無力感・悪寒・疲労・倦怠感・内出血・血腫・硬結・失神・浮動性めまい・筋肉痛・関節痛・嘔吐・リンパ節症・蜂巣炎・インブルエンザ・口腔咽頭痛 |
添付文書 |
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まれに重い副反応もあります
病気の名前 |
主な症状 |
報告頻度 |
アナフィラキシー |
呼吸困難、じんま疹などを症状とする重いアレルギー |
頻度不明 |
ギラン・バレー症候群 |
両手・足の力の入りにくさなどを症状とする末梢神経の病気 |
頻度不明 |
急性散在性脳脊髄炎(ADEM) |
頭痛、嘔吐、意識の低下などを症状とする脳などの神経の病気 |
頻度不明 |
- 【疼痛または運動障害等の報告について】
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- ・ワクチンを接種した後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動等を中心とする多様な症状が
起きたことが副反応疑い報告により報告されています。
- ・この症状のメカニズムとして、@神経学的疾患、A中毒、B免疫反応、C機能性身体症状が考えられましたが、@A
Bでは説明できず、C機能性身体症状であると考えられています。
- ・「 HPV ワクチン接種後の局所の疼痛や不安等が機能性身体症状を惹起したきっかけになったことは否定できな
いが、接種後1 ヶ月以上経過してから発症している症例は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」と評価され
ています。
- ・HPV ワクチン接種歴のない方においても、HPV ワクチン接種後に報告されている症状と同様の「多様な症状」を
有する方が一定数存在したこと、が明らかとなっています。
- ・このような「多様な症状」の報告を受け、様々な調査研究が行われていますが、「ワクチン接種との因果関係がある」
という証明はされていません。
- 【機能性身体症状とは】
- ・何らかの身体症状はあるものの、画像検査や血液検査を受けた結果、その症状に合致する異常所見が見つからないことが
あります。こういう状態を、機能性身体症状と呼んでいます。
- ・症状としては、@知覚に関する症状(頭や腰、関節等の痛み、感覚が鈍い、しびれる、光に対する過敏等)、A運動に関する症状
(脱力、歩行困難、不随意運動等)、B自律神経等に関する症状(倦怠感、めまい、嘔気、睡眠障害、月経異常等)、C認知機能に
関する症状(記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力の低下等)等多岐にわたります。
- ・痛みについては、特定の部位からそれ以外に広がることもあります。運動障害等についても診察所見と実際の運動との乖離、
症状の変動性、注意がそれた場合の所見の変化等、機能性に特有の所見が見られる場合があります。
- ・臨床現場では、専門分野の違い、病態のとらえ方の違いあるいは主たる症状の違い等により、様々な傷病名で診療が
行われています。また一般的に認められたものではありませんが、病因に関する仮説に基づいた新しい傷病名がつけられて
いる場合もあります。
例:身体症状症、変換症/ 転換性障害(機能性神経症状症)、線維筋痛症、慢性疲労症候群、起立性調節障害、複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome: CRPS)