食物アレルギー診療の基本方針
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食事は大きな楽しみの一つです。
小泉重田小児科は、食物アレルギーのために日常生活で困ることがなくなること、そして、大人になった時に安心して食事を楽しめることを目標に診療を行っています。
そのために、次の4つの基本方針を立てています。
(1)正確性の高い食物アレルギー診断を行う
(2)必要最小限の除去を目指す
(3)安全に摂取できる範囲を見極め積極的に摂取する
(4)病診連携を適切に行う
食物負荷試験を院内で実施し、小児アレルギーエデュケーターの資格を取得した看護師とともに、上記のお手伝いをすることが、小児アレルギー専門医の役目と考え診療を行っています。 |
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(1)正確性の高い食物アレルギー診断
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食物アレルギー診断の原則は次の2点です。
@食べて有害な症状が出ることを正確に確認する
A食物(原材料)に対するアレルギー状態を確認する
@食べて有害な症状が出ることを正確に確認する
症状が出た時の状況を詳細にお伺いします。お子さんが召し上がったものだけでなく、食べてから症状が出るまでの時間、どのような症状が出て、どうしたら治ったか、必要があれば、どこで誰と一緒に食べていたか、食卓に出ていた食べ物、食事の支度中に使用した食材などもお伺いします。
この「詳細な問診」というプロセスが正確性のある診断に最も重要で、診察時(問診)にも十分な時間を取るようにしています。
A食物に対するアレルギー状態を確認する
「詳細な問診」で原因となりそうな食品(原材料と呼びます)を確認したら、お子さんがその原材料についてアレルギー状態になっているかどうかを確認します。
血液検査ができる原材料であれば、採血してRAST法という検査で抗体(特異的IgE抗体)があるかどうかを調べます。
血液検査ができない原材料のうち野菜・果物については皮膚プリック反応で間接的に抗体(特異的IgE抗体)があるかどうかを調べることができます。例:パイナップル・ビワなど
RAST法:イムノキャップ(R)®、または、アラスタット3gアレルギー(R)® |
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(2)必要最小限の除去を目指す
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食生活の質(QOL)をより豊かにしましょう
食物アレルギーは食物(原材料)を食べたり・触れたり・吸い込んだりして症状が現れます。安全のために原因となる原材料のみを除去することが食物アレルギー対応の第一歩です。
食物を除去することはご家族にも大変なことです。献立を考えたり、食べたいものを我慢したり、わざわざ高い商品を買ったり・・。また、除去する原材料によっては栄養学的に問題が生じることもあります。
そこで、本当に除去しなくてはいけない原材料を早期に明確にして「必要最小限の除去」を目指すことが大切です。 |
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(3)安全に摂取できる範囲を見極め積極的に摂取する
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赤ちゃんの食物アレルギーは鶏卵・牛乳・小麦の3種類で原因の90%を占めます。そして、適切にアレルギー診療を受けていると赤ちゃんの多くは小学校入学時に、この3種類を普通に食べられるようになるとされています。
ただ、ある日突然、食べられるようになるのではなく、免疫システムが少しづつ成熟し、消化管からの消化吸収機能が変化してゆく過程で、今まで食べて症状が出ていたお子さんが、ある一定量であれば摂取できるようになってゆきます。これは「耐性の獲得」と呼ばれます。そして、全く摂取しないで除去を継続するよりも、少しずつ摂取した方が早期に耐性を獲得する可能性が高いとされています。
そこで、除去すべき原材料が決まったら、次は安全に摂取できるる量を見極める必要があります。現時点でどの程度まで食べると症状がでるのか、また、どこまでなら食べられるのかを明確にして、定期的に摂取してゆきます。
その際、医師と相談の上で、自宅で少量ずつ摂取して戴いたり、当院の診療時間中に食物負荷試験という方法で摂取できるかどうかを試すこともできます。
一方で、治りやすいとされている赤ちゃんの鶏卵・牛乳・小麦アレルギーであっても、残念ながら、長期間の除去が必要な方もいらっしゃいます。 |
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(4)病診連携を適切に行う
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病診連携には3つのパターンがあります
@ 地域の医療機関からの紹介
小児科クリニックや、皮膚科クリニックからご紹介いただいて、食物アレルギー診療(診断・食物負荷試験・摂取量の相談・食物除去票の記載等)のみを当院で行う方法です。(紹介状はなくても差し支えありません)
予防接種や健診・一般のかぜ診療はかかりつけの小児科クリニックで今まで通り診療していただいております。また、皮膚科クリニックの治療も同じ皮膚科で継続していただきます。
A 基幹病院への紹介
極めて重い症状が予測されるお子さんの「食物負荷試験」や、血液検査では調べられない食物(アレルギー検査の検査項目がない食物)のアレルギーの方などを、地域の拠点病院にご紹介するという連携です。ご紹介先は高崎総合医療センターや群馬大学病院小児科などです。
B 転居時の情報提供
お引越し先の病院・クリニック宛にご紹介状を用意致します。食物アレルギーの病型・発症時の様子・現在までの摂取状況等を共有し、転居先での継続治療を容易にするための病診連携です。
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