前項で、花粉は粒子が大きいので,肺の中の細い気管支までは届かないことを述べました。 しかし、花粉が鼻の粘膜に付着して、鼻でアレルギー反応を起こすと、鼻アレルギー自体が他臓器にも影響を及ぼす物質を作り出し、結果的に気管支のアレルギー(ぜんそく)を引き起こすことが近年わかってきました。 空気の通り道は、口・鼻・のど、から気管・気管支を通って肺に達しています。この一筋の空気の通り道(One way)を一つに臓器と捉え、鼻アレルギー(花粉症)も、気管支のアレルギー(ぜんそく)も、同じ”気道”という一つの臓器の病気(One disease)と考えて、ぜんそく治療を組み立ててゆく考えがあります。 これを英語では"One airway, One disease"と呼び、この考えに則した治療が最近の主流になっています。 アレルギー体質の方には、ぜんそくに限らず、他臓器のアレルギー疾患のケアが必要です。 具体的には、スギ花粉症を合併した喘息患者さんには、鼻アレルギーの予防方法を説明したり、花粉症の治療を積極的に行います。また、アレルギー性(好酸球性)副鼻腔炎を合併して以内かどうかの診断も合わせて行います。