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子どものスキンケア(H28.1.19更新)
赤ちゃんや子どもの湿疹・アトピー性皮膚炎には、ご家庭でのスキンケアが欠かせません。
皮膚のバリアを良い状態に保つことと、天然保湿成分を減らさないために、上手なスキンケアをしましょう。
・
泡立てた石けんの泡
で
・手で優しく洗い
・良くすすぐ
また、痒みや湿疹がひどい場合には適切な量のステロイド軟膏を上手に使用する事が治療の基本です。使用する軟膏の量は
FTU(フィンガー・チップ・ユニット)
を目安にしましょう。
乳児期からスキンケアと保湿剤を使用してツルツル・スベスベの肌を保つことで、
アトピー性皮膚炎の発症を減らせる
ことが国内外で報告されています。
※かかりつけ医(主治医)の指示や説明を最優先にして下さい。
【Q&A】
(1)石けんで洗ったほうが良いのですか?
(2)なぜ、石けんを泡立てるのですか?
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(3)2分でボディーソープを泡立てる方法
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(4)2分で固形石けんを泡立てる方法
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(5)耳や目の周りはどのように洗うのですか?
(6)1日に何回軟膏を塗るのですか?
(7)いつ軟膏を塗るのですか?
(8)どこに塗ればいいのですか?
(9)1回の軟膏の量はどのくらいですか?
(10)FTU(フィンガー・チップ・ユニット)とは何ですか?
(11)いつまで塗るのですか?
(12)良くなったらどうすればいいのですか?
(13)皮膚のバリアとは?
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(14)天然保湿成分とは?
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(15)お勧めの石けんやシャンプーは?
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(16)赤ちゃんのアトピーを予防できますか?
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(1) 石けんで洗ったほうが良いのですか?
はい、石けんを泡立てて、手で優しく洗って下さい。
バスタイムのスキンケアは、
皮膚のバリア
を壊さないように、また、
天然保湿成分
を減らさないような方法で行いましょう。
石けんは湿疹の原因になる皮脂・ばい菌、そして水に溶けにくい軟膏も落とすことができます。(汗は暖かいシャワーだけでもかなり落とせます)
ジクジクている所も石けんで洗い、清潔にしてから軟膏を塗って下さい。
ガーゼ・スポンジ・手袋などで皮膚をこすらないようにします。
また、すすぎが不十分であると、皮膚のphが上昇して、かぶれ・かゆみの原因になり、ステロイド軟膏の効きも悪くなります。入浴時はシャワーでしっかり石けんを落としましょう。すすぎの時も皮膚を擦りすぎないように手で洗いましょう。
・泡立てた石けんの泡で
・手で優しく洗い
・良くすすぐ
※かかりつけ医(主治医)の指示や説明を最優先して下さい。
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(2) なぜ、石けんを泡立てるのですか?
石けんを泡立てることで、
(1)汚れを落とす効果が高まり、
(2)すすぎにかかる時間を短縮できます。
石けんを泡立てることで、疎水基という汚れを落とす成分を、汚れた皮膚に十分にくっつけることができます。そのため、入浴時にこする必要がなくなり皮膚を痛めずに汚れを落とせます。
また、石けんをヌルヌルした状態でつけると、すすぎに時間がかります。入浴時間が長くなると、皮膚が温まりすぎて痒みが強くなり、皮膚の天然保湿成分も減り乾燥肌(ドライスキン)を助長します。石けんを泡立てることですすぎ時間も短縮できます。
角が立つような石けんの泡
ボディーソープ(液体石けん)の泡立て方
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固形石けんの泡立て方
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(3) 2分でボディーソープ(液体石けん)を泡立てる方法
ボディーソープ(液体石けん)を泡立てるには、家庭用のビニール袋を用意しましょう。洗面器もあると便利です。
キメが細かくて、角が立つくらいの泡を十分に作ります。慣れてくると概ね2分以内に作れるようになります。
※ 浴室に入る前に”泡”を作っておくとラクです。
(1)ビニール袋にお湯(または水)15ml程度をいれます。
お湯の方が泡立ちが良好です。
ビニール袋を斜めにすると隅から4cmまで入れると約15ml
(2)ボディーソープ゚を3プッシュ入れます。 当院では、ボディーソープ3プッシュ+水15ml、を目安にお勧めしています。
(3)ビニール袋の口の部分をすぼめるようにします。風船をふくらませるように口で息を吹き込み、ビニール袋を空気で一杯にします。
(4)ビニール袋のすぼめた口を、ねじるようにして、中身が漏れないように閉めます。
(5)ビニール袋を、手首のスナップをきかせるようにして、素早く振ります。
(6)すぐに泡が充満しますが、まだキメが粗い状態です。
(7)ビニール袋の膨らみを半分くらい減らし、口をねじって閉めます。但し、この時に空気がビニール袋に残るようにして下さい。
(8)もう一度、手首のスナップをきかせるように、空気を泡に混ぜ込むイメージで、1分ほど素早く振って下さい。
(9)角が立つくらいの堅さに泡立っていれば完成です。必要に応じて洗面器に泡を出してスキンケアに使用して下さい。
液体石けん:低刺激性のボディーソープ(液体石けん)をお勧めしています。ブランドにこだわる必要はありません。
謝辞・出典:ビニール袋を使用する方法は、
日本アレルギー学会第2回総合アレルギー講習会の「【実習】スキンケア」(平成27年12月13日)
に於いて受講した内容を参考にして当院で改変したものです。内容に関するお問い合わせは当院にお寄せ下さい。
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(4) 2分で固形石けんを簡単に泡立てる方法
浴室で固形石けんを泡立てるには、洗面器と石けんネットを用意しましょう。
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キメが細かくて、角が立つくらいの泡を十分に作ります。慣れてくると概ね2分以内に作れるようになります。
(1)洗面器に少量の水かお湯を入れます。
(2)石けんネットに水をつけて、石けんを擦り付けます。
(3)洗面器の中で、洗濯板で洗濯物を洗うように、石けんネットをしごくように揉んで下さい。
(4)この時に、空気を混ぜ込むイメージで、ゴシゴシするストロークを長くすると早く泡を作れます。
(5)40秒ほどで泡の量が増えますが、まだ、キメが粗い状態です。
(6)1分30秒ほどで、キメが細かく、角が立つ、泡の出来上がりです。
冬期は浴室が寒いため、シャワーを出しておくことがあるかも知れません。シャワーの水が洗面器に入ってしまうと上手に泡立てられません。入浴直前に台所等で泡を作っておくことをお勧めします。
石けんネット:泡立ちを意識した「タオル」も様々な商品がありますが、100円ショップで手に入る「石けんネット」でも十分に泡を立てられます。
固形石けんの種類:低刺激性の固形石けんをお勧めしています。ブランドにこだわる必要はありません。
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(5) 耳や目の周りはどのように洗うのですか?
泣いても大丈夫ですから、石けんの泡で洗い、良くすすぎましょう。
耳から目の周囲はどなたも洗い残しが多い場所です。洗う人(保護者)が両手を使えるようにすると上手に洗えます。両手を使うことで、「首のしわ」などの洗いにくい場所を広げて洗ったり、「目と目の間・目と鼻の間・耳の後ろ」なども安心して石けんの泡で洗うことができるようになります。
赤ちゃんのお母さんとしては「目に石けんが入ったら、どうしよう!、耳に水が入ったら大変!!」とお考えになるのが当然でしょう。しかし、穿孔性の中耳炎(鼓膜に穴が開いてなかなか穴がふさがらない中耳炎)にでもなっていない限り、耳に水が入っても、水は鼓膜の手前までしか入りませんから心配ありません。入浴後にタオルで耳をふいて、その後はティッシュペーパーをこよりにして、耳の中の水を吸い取ると良いでしょう。
外耳炎や鼓膜損傷の可能性があるので綿棒は使わない方法を通常はお勧めしています。
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(6) 1日に何回軟膏を塗るのですか?
ステロイド軟膏は1日に2回の塗布が標準的です。
アトピー性皮膚炎の患者さんは治るまでに時間がかかります。更に、病状が良くなったり悪くなったりする慢性の病気なので、ステロイド軟膏を根気よく塗布していただかなければなりません。
ある程度皮膚が良くなると、軟膏をつけること自体がストレスになってしまいます。学問的にもステロイド軟膏を1日に2回塗布と3回塗布を比べた研究が行われ、どちらでも治療効果に大差がない事がわかっています。そこで、アトピー性皮膚炎の患者さんの負担を軽くするために、現在は1日2回の軟膏塗布が標準的な治療法です。但し、病状や、部位によっては(特に赤ちゃんのよだれがつく部分には)短期間に限定して1日に4〜5回ステロイド軟膏を塗布していただく場合もあります。
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(7) いつ軟膏を塗るのですか?
1回目は入浴後、火照りや汗がひいた頃に、2回目は朝起きて洗顔後、すぐ塗布しましょう。
夏期は汗をかきやすいので、1日に2回入浴し、その後に軟膏を塗布していただく場合もあります。但し、1日2回の入浴はお母さんに時間のゆとりがある場合や、病初期の皮膚の状態が特に悪い時に短期間行っていただいています。むしろ、
皮膚がツルツルに良くなってからのケア
が大切です。「継続は力なり」の精神で、ラクをしながら治してゆきましょう。
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(8) どこに塗ればいいのですか?
1)(入浴前に)触ってみてカサカサ・ザラザラする所。
2)お風呂上がりに赤くなっているところ。
3)お子さんがかゆがっている所。
以上の3カ所がステロイド軟膏を塗布する大切なポイントです。
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(9) 1回の軟膏の量はどのくらいですか?
患部を覆い隠せるように、軟膏を「のせるように」塗布できるくらいの量が適量です。
ステロイド軟膏は使用量が少ないと効果を発揮できません。そこで、ステロイド軟膏を初めて塗布する方には、十分な量がつけられるように次にご紹介する
FTU(フィンガー・チップ・ユニット)
という使用量の目安をお勧めしています。
一方、皮膚の状態が良くなってくると、患部の凹凸が少なくなり、軟膏が必要な表面積も減るので、「覆い隠せるように」使用する軟膏の量も自然に減ってゆきます。
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(10) FTU(フィンガー・チップ・ユニット)とは何ですか?
FTUは「フィンガー・チップ・ユニット」と読みます。これは患者さんに十分量のステロイド軟膏を使用いただくために英国で考え出された軟膏使用量の実際的な目安です。
「10g軟膏(出口径5mm)の軟膏を大人の人差し指の指先から第一関節まで」の範囲に出した軟膏の量を「1FTU」と呼びます
(図)
。
1FTUは軟膏0.5gに相当します。1FTU分の軟膏を「大人の手のひら2枚分」の面積に塗布することで、十分な量の軟膏が塗布できます。
10gチューブの軟膏1本には20FTU分の軟膏が入っています。例えば、生後4〜5ヶ月くらいの赤ちゃんの顔・額・あご・耳に軟膏をつける場合、赤ちゃんの顔の面積はだいたい「大人の手の平2枚分」位なので、1回の軟膏量は1FTU、1日2回塗布すると1日で2FTU分の軟膏を使用します。10gチューブの軟膏は10日間くらいで終わることになります。
大きいチューブ(10g軟膏)
1FTU:1関節分
小さいチューブ(5g軟膏)
1FTU:1.5〜2関節分
軟膏の大きさ
10g軟膏(上) 5g軟膏(下)
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(11) いつまで塗るのですか?
ツルツルのお肌になってから、徐々にステロイド軟膏を減らしてゆきます。
急にやめると皮膚の炎症がぶり返してしまうので、皮膚の状態を医師に確認してもらいながら減らしましょう。通常はステロイド軟膏を1日2回 → 1日1回 → 次は間欠投与といって、2日間ステロイドを塗布して1日休み → 1日おきにステロイド塗布 → 月・水・金のみステロイド塗布 → 日・木のみステロイド塗布・・・というようなスケジュールでゆっくり減らします。皮膚の炎症が軽い方はもっと速いペースで減量してゆきます。
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(12) 良くなったらどうすればいいのですか?
皮膚の状態が改善しステロイド軟膏を減らせた場合は、保湿剤のみを使用していただきます。
子どもの湿疹やアトピー性皮膚炎は感染症(かぜ)により悪化することがしばしば見られます。皮膚が悪化してきたら、重症化する前に再度ステロイド軟膏を使用し、改善したら早めに減量してゆきます。
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(13)皮膚のバリアとは?
湿疹やアトピー性皮膚炎を考える場合の「皮膚のバリア」には2種類あります。
(1)皮膚の一番外側のバリア
(2)皮膚のちょっと奥にある2番目のバリア
(1)一番外側のバリア
ここはミルフィーユのような構造です。角質細胞という死んでしまった薄い細胞(ミルフィーユのパイ)が何層にも重なり合い、その間をセラミドなどの細胞間脂質がコンクリート(ミルフィーユのカスタードクリーム)のように埋めています。角質細胞はすでに死んでしまった細胞なので概ね2週間程度でアカとしてはがれ落ちます。下から新しい角質細胞が押し上げられてきます。
このバリアの役割は、皮膚の奥に刺激物を入れないようにすること(レンガ壁の「レンガ」)と、皮膚の水分や天然保湿成分が抜け出さないようにすること「(レンガ壁の「しっくい」)です。
(2)2番目のちょっと奥にあるバリア
2番目の皮膚バリアは角質細胞の下の層(顆粒層)にあり、タイトジャンクションとよばれます。
タイトジャンクションの役割は外からの異物(抗原)を強固にシャットアウトすることです。
タイトジャンクションの更に下には、アレルギーの発症システムに重要な役割を果たす「ランゲルハンス細胞」が控えています。角質細胞がはがれた部分では、外からの抗原がランゲルハンス細胞に捉えられ、その抗原に対するアレルギー状態を起こす準備が始まります。
バリアで防げなかった異物に対しては、「アレルギー」という仕組みを使って異物を排除しようとする、2段階の自己防衛システムとも云えます。
皮膚には外からの様々な刺激(汗・細菌・紫外線など)から体を守る役目が備わっています。ですから、皮膚自体が体のバリアとも言えます。
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(14)天然保湿成分とは?
天然保湿成分は角質層の水分を強く引き留めておく力を持つアミノ酸で、医学用語では「天然保湿因子」と呼ばれます。
天然保湿因子は、フィラグリンという物質が分解されて生成されます。
近年、アトピー性皮膚炎の患者さんはフィラグリンの遺伝子に異常がある場合が多いとされています。
しかし、遺伝子異常があるからアトピー性皮膚炎になるのか、アトピー性皮膚炎の炎症により遺伝子異常が起こるのかについては、現在も研究が行われています。
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(15)お勧めの石けんやシャンプーは?
低刺激性の石けんをお勧めしています。
メーカーやブランドは問いません。
皮膚に石けんが残ると、皮膚のpHが上昇しバリアが弱くなり、ステロイド軟膏も効きにくくなります。
石けんのすすぎ残しを防ぐためにも、
「泡立てた石けんの泡」
で、優しく洗うようにしましょう。
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(16)赤ちゃんのアトピーを予防できますか?
はい。現時点では、赤ちゃんが生まれたら、スキンケアを行いツルツル・スベスベの肌を保つことが予防に繋がる、と科学的に証明されています。
平成26年に、日本と英米の2つのグループによって、皮膚のバリアを守るために新生児期から保湿剤を塗布しておくと、アトピー性皮膚炎の発症を減らすことができる、と報告されています。
これは、赤ちゃんの顔、特に口の周りに湿疹があると、
皮膚バリア
が弱っているので、外からの食物抗原などが容易に皮膚の奥に侵入し、食物アレルギーを起こしやすくなるという考え(二重暴露仮説)に通じるものです。
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